公認心理師は非常勤で働く人が多いでしょう。
●常勤、非常勤それぞれのメリットとデメリット
新卒者は常勤職を探すのが一般的であると思いますが結婚や配偶者の転勤によって辞めざるを得ないケースもあります。
復職する際スクールカウンセラーの時給が、高いところで6000円の地方では、非常勤はさほど悪くない選択肢となります。
程々待遇のいい医療機関でも月18万のボーナス年間3.25ヵ月分、年収2745000円からスタートし一年で年間の昇給が5000円、だと仮定すると翌年の年収が2821250円になります。昇給額5000円、ボーナス年3.25ヵ月分に変化がないとして、10年ほど病院に勤務したら3507500円になる計算です。有給休暇も年間20日使えるでしょう。
ただし、この有給休暇をどれだけ消化できるかは経営者の考え方によります。
●非常勤での働き方
地方のスクールカウンセラーは時給5000円が多いです。
スクールカウンセラーは国、自治体が半分ずつ人件費を負担しています。
働き方は一日6時間と制限があり、週に1回や2週に1回勤務など、自治体によって異なります。担当する学校数は人によって異なります。小中学校は教育委員会が募集して振り分けています。高校も同様の自治体があるかもしれません。
2つのケースを紹介します。
待遇にだけ焦点を当て、メリットとデメリットを考えます。
<ケース1:毎週4つの学校で働く公認心理師のAさん>
時給5000円。一日3万円、週12万円。35週勤務で年収420万円。
メリット
①家庭の都合に合わせて勤務を増やせる
②時給が高い
デメリット
①昇給無し
②社会保険に入れない
③年契約で不安定
非常勤でも有給を使えますが勇気が必要です。
Aさんが勤務を1日増やした場合の年収は
週15万、35週勤務で525万円となります。理論上可能ですが、そこまで勤務校があるかは、各自治体によるでしょう。
●常勤での働き方
<ケース2:医療機関常勤公認心理師Bさん>
勤務十年目、年収350万
メリット
①社会保険加入、経営者の考え方によっては産休、育休所得可能
②昇給がある
デメリット
①時間当たりの給与が低い
一日8時間勤務、週40時間(土曜勤務もあると48時間)。
350万÷12=月収約30万とします。
30万÷4=一週間当たり7.5万
週40時間当たり7.5万の給与なので、
時給は7.5万÷40=1875円です。
残業、土曜勤務、もあり得るので、実際の時給はもう少し低いです。
社会保険で3割ほど引かれ、手取りの時給では約1300円となります。
臨床心理士は修士の学位まで持っていての時給と考えると、衝撃です。
※年収とはボーナスも含めたもの。
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ミニコラム
常勤だと社会保険の一つである厚生年金が魅力の一つになります。
さらに医療機関独自の企業年金があります。「○○県病院企業年金基金」と言うものが各県にあります。県をまたいだ転職になると別の県の病院企業年金基金に掛け金を移管することができません。
また、近年掛け金の投資がうまくいかず解散している県もあります。
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臨床心理士の場合7割が女性のため、産後常勤職を辞め、非常勤で子どもの都合に合わせて働くケースが多いです。
いずれにせよ公認心理師は年収300万円台の人がほとんどです。
この傾向は都市部であっても他の産業と所得格差があまりありません。
東京の精神科病院常勤心理職の新卒は18万前後~です。
物価の高い場所で年収300万代での生活は切り詰めが必至です。
結論を言うと、常勤と非常勤それぞれの良さがあります。
居住地域、共働きでのパートナーの年収によってもゆとりある生活は可能です。このことは別のページで詳しく書きます。